4月:うちは初め
本日位4月14日は、「うちは初め」。
江戸の創業時より、榛原ではこの日を境に、涼やかな柄の団扇を店頭に並べていました。
毎年発売される新作の団扇を求めて、多くの人が訪れた為、 「榛原うちはは初夏流行の魁(さきがけ)」として風物詩となっていたほどです。
江戸の職人が手仕事で作った団扇を、 人々は浴衣の帯に差して散歩をしたり、蛍を払ったり、 ファッション感覚で楽しんでいたようです。
流行に敏感な江戸っ子の心に寄り添うように、 榛原は街ゆく人々の衣装や、流行に強い関心を寄せ、 粋な人々に似合う意匠を考案していたといわれます。
その原画を担当したのは川鍋暁斎・柴田是真・川端玉章を初めとする流行の日本画家で、 昭和初期までは毎年新製品を販売し、大変華やかな様子であったことが予測されます。
日常生活の中の道具である団扇に、各時代の美術界を象徴するような先生方の才能を取り入れた当時の趣向からは、紙を用いて人々の暮らしを豊かにすることを目的とした、創業以来の真髄が伺えます。
今年も、色とりどりの団扇を並べて、お客様をお待ちいたしております。